青春18きっぷ研究所

青春18きっぷで北海道を旅する!

青春18きっぷで北海道を旅するのは素晴らしい体験です。無人駅を一つ一つ停まるローカル線で旅をしてみましょう。

とはいえ、北海道を青春18きっぷで旅するのは簡単ではありません。本州から北海道へは津軽海峡越えが大変ですし、盛岡以北の第三セクターでは青春18きっぷが使えない区間がある、というハードルもあります。

ここでは、青春18きっぷで北海道を旅する人のためのモデルルートをご紹介します。

北海道への上陸方法

H100形函館線

津軽海峡を渡る青函トンネルを走る旅客列車は新幹線だけです。在来線で北海道へ渡ることはできません。したがって、青春18きっぷ「だけ」で北海道へ渡ることもできません。

この区間には「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」(別料金)が設定されましたので、それを購入すれば、奥津軽いまべつ~木古内間で新幹線に、木古内~五稜郭間で道南いさりび鉄道に乗車できます。

オプション券を使って北海道へ上陸するためには、青森から津軽線で津軽二股駅に至り(蟹田~津軽二股間は代行バス)、隣接する奥津軽いまべつ駅から北海道新幹線「はやぶさ」または「はやて」に乗車し、木古内で下車、道南いさりび鉄道に乗り換えて五稜郭・函館に至る、という手順になります。

ただし、この区間の列車の接続が悪いため、別料金を払ってまで乗ることは、あまりおすすめしません。

フェリーと組み合わせる

東京から青春18きっぷで北海道へ向かう場合、青森まで青春18きっぷで進むのが基本です。青森まではいくつかルートがありますが、上越・羽越線ルートが一般的です。

■青森まで(上越・羽越線ルート)
東京→長岡→新津→秋田→青森

鉄道利用にこだわるなら、青森から津軽線で津軽二股駅に至り、「北海道新幹線オプション券」を使って新幹線で北海道に渡ります。

■北海道新幹線オプション券利用
青森→(津軽線)→津軽二股→徒歩→奥津軽いまべつ→(北海道新幹線)→木古内→(道南いさりび鉄道)→函館
※太字はオプション券利用

ただ、オプション券は別料金ですし、時間も結構かかります。それならば、青森からフェリーで函館へ渡った方がラクかもしれません。 青森~函館のフェリーには、津軽海峡フェリーと青函フェリーがあります。快適なのは津軽海峡フェリー、安いのは青函フェリーです。

値段の安い青函フェリーのターミナルは、青森駅から約2.5km、五稜郭駅から約2.1kmです。日中はバスもありますが、深夜便利用の際は、タクシーか歩くしかありません。

■青函フェリー利用
青森駅→(2.5km)→青森フェリーターミナル→(青函フェリー)→函館フェリーターミナル→(2.1km)→五稜郭駅
※太字は別料金

東京から八戸を目指し、八戸から苫小牧までフェリーを使う方法もあります。

■八苫フェリー利用
東京→盛岡→(IGR・青い森鉄道)→八戸→本八戸→(バス)→八戸フェリーターミナル(シルバーフェリー)→苫小牧フェリーターミナル→(バス)→苫小牧
※太字は別運賃

■仙苫フェリー利用
東京→仙台→中野栄→(バス)→仙台フェリーターミナル(太平洋フェリー)→苫小牧フェリーターミナル→(バス)→苫小牧
※太字は別運賃。

■大阪から北海道は?
大阪から北海道へ向かう場合は、青春18きっぷだけでは時間がかかりすぎますので、舞鶴から新日本海フェリーを使って小樽に上陸するといいでしょう。敦賀~苫小牧間にもフェリーがあります。

北海道へのフェリーは、名古屋、大洗、仙台、八戸、青森、秋田、新潟、敦賀、舞鶴からの便があります。これらのフェリーを効果的に組み合わせることで、時間のかかる北東北から南北海道を効率よく通過することができます。

高速バス、フェリーと組み合わせる

八戸~苫小牧間でフェリーを使う場合、盛岡~八戸~苫小牧~札幌間は、高速バスとフェリーを乗り継ぐこともできます。この区間には、「札幌・盛岡なかよしきっぷ」という割引きっぷが販売されています。

盛岡または札幌を夜に出発し、札幌または盛岡に午前中に着くという乗り継ぎです。

■札幌・盛岡なかよしきっぷ乗り継ぎ
盛岡駅西口18:10→八戸港22:00→苫小牧港06:46→札幌駅前08:37 札幌駅前21:05→苫小牧港23:59→八戸港08:00→10:58盛岡駅西口 (2024年1月現在。ダイヤは変更になることがあります)

青春18きっぷで東京から乗り継ぐ場合、東京~盛岡間は上下線とも同日着が可能です。従って、東京を朝出発すれば翌朝札幌に着けます。札幌を夜出発すれば、翌日夜に東京に着けます。その点でも使い勝手のいいきっぷです。東京~札幌間が約26時間です。

LCCと組み合わせる

最近は各地からLCCも増えていますので、LCCを使って北海道に行くのもおすすめです。その場合、成田空港や関西空港にも青春18きっぷで行けますし、新千歳空港にもJRが乗り入れていますので、青春18きっぷが使えます。

■LCC利用モデルルート
発駅→(青春18きっぷ)→成田・関西空港→(LCC)→新千歳空港→(青春18きっぷ)→着駅とすると、空港アクセスも格安になります。

青春18きっぷだけでは大変

上記のとおり、青春18きっぷだけで本州から北海道に上陸することはできません。それならば、最初から新幹線や高速バス、フェリー、LCCなど、他の交通機関を交えた旅行にしたほうがいいでしょう。

東京からの場合は、青森まで普通列車を使い1日で着けますので、まだ利用価値がありますが、大阪や名古屋発の場合は、普通・快速列車で1日で青森まで着けません。それぞれ2日間かかります。大阪・名古屋~札幌間を青春18きっぷ利用となると、3日がかりです。青春18きっぷの旅を究めたい!という人向けです。

青春18きっぷ北海道内周遊モデルルート

北海道内を青春18きっぷで楽しむ周遊コースをご紹介します。

■道東一周
札幌~千歳~新夕張~(特例:特急列車利用)~新得~帯広~釧路~斜里~網走~北見~旭川~札幌

札幌から帯広、釧路、網走、旭川と道東を一周するルートです。のんびり進むとして、帯広、釧路、北見、旭川に1泊ずつすれば5日間で、青春18きっぷを使いきります。

■日本最北端へ
函館~札幌~旭川~稚内

函館に上陸した後、日本最北端の駅・稚内を目指すコースです。札幌~稚内間は1日でも行けますが、旭川に宿泊したほうが、宗谷線を日中時間帯に縦走できて景色が見られます。

北海道内のおすすめ列車

■快速エアポート
札幌と新千歳空港を結ぶ快速列車。LCCで新千歳空港に着いたらみんな使います。

■特別快速「きたみ」
旭川〜北見を結ぶ快速列車。網走方面へ行くのに便利です。

■旭川〜稚内321D
旭川〜稚内を直通する普通列車が下りに1本あります。下り321Dに乗れば、旭川から宗谷岬まで日帰りできます。上りは直通列車はありません。

■快速「しれとこ摩周号」
網走~釧路間を走る釧網線の列車。「快速」というほど通過する駅はありませんが、かつての急行「しれとこ」の流れを汲む列車です。釧網線の眺望を楽しむには良い列車です。

時刻表をよーく調べる

北海道内の普通列車の本数はきわめて少ないです。また、北海道は広く所要時間もかなりかかります。札幌から根室まで約500キロ、稚内まで約400キロあり、普通列車の移動は1日がかりです。時刻表をあらかじめよく調べておきましょう。

始発駅から乗り、早めに駅に行く

北海道の普通列車は編成数が短く、札幌近郊以外は基本的に1両〜2両編成です。ボックスシートの場合は、進行方向の窓際席は1列車につき数席だけ。いい席に座りたければ、列車は始発駅から乗車し、早めに駅に行って並びましょう。

北海道のローカル線の普通列車は空いていると考えている人も多いですが、青春18きっぷ期間中はそれなりに混みますし、とくに旅行者が使いやすい列車は混雑します。