青春18きっぷ研究所

青春18きっぷの利用中に運休、遅延したら?

青春18きっぷは激安です。安い代わりに、万一のときの補償は少ないです。列車運休時の代替輸送などはしない、というのが基本的なスタンスです。つまり、台風が来ようが、大雪が降ろうが、JRの不手際で運休しようが、一切補償されない、というのが基本ルールです。それを理解したうえで、ご利用ください。

こうしたルールは、最近の格安航空会社(LCC)とも似ています。運休のリスクは乗客側が取ることによって格安のきっぷが実現しているのです。たまーに、遅延、運休時に駅でごねている18きっぷ利用者がいますが、JRや他の乗客に迷惑なのでやめましょう。

運休、遅延の場合の基本ルール

JR線で運休や遅延が発生した場合の、青春18きっぷの基本ルールをまとめてみました。

  • 列車運休時の代行バスに乗ることができます(普通列車の代行バスに限ります)。
  • 振替輸送の対象路線に乗ることもできます。ただし、新幹線が振替先の場合は、ケースバイケースです。
  • 遅延や運休が生じても、原則として払い戻しはできません。

上記のうち、振替輸送に関する扱いがわかりにくいので、以下で詳しく説明します。

E129系上越線

青春18きっぷの振替輸送時の扱い

振替輸送とは、JR在来線が運転見合わせになった際に、他社路線や新幹線に無料で乗せてくれることを指します。一例を挙げれば、東海道線の東京~横浜間で遅延や運休が生じた際に、JRのきっぷを持っていれば、東急や京急に無料で乗ることができます。

この振替輸送の対象には、青春18きっぷも含まれます。振替輸送は、原則として使用開始後のきっぷが対象ですので、青春18きっぷの場合、当日のスタンプが押されたものであれば、原則として振替輸送の対象になります。つまり、当日有効の青春18きっぷを持っていれば、振替輸送を受けられます。

ただ、全ての振替先に無条件に乗れるかというと、そうとも限りません。振替輸送先が一般列車(普通列車)の場合は問題なく乗れるようですが、振替先が新幹線の場合、青春18きっぷで乗車できないことも多いようです。青春18きっぷが普通列車用のきっぷであることを考えれば、やむを得ない措置でしょう。

実際には新幹線への振替乗車が認められるケースもあります。たとえば、上越線が大雪で不通になった場合には、上越新幹線に乗せてくれることもあるようです。ただし、このとき、別途、新幹線特急券の購入を求められる場合もあります(青春18きっぷは乗車券として有効)。

振替輸送は状況によってJRの判断が異なることがありますので、予断なく情報収集をするといいでしょう。

代行バスの扱い

代行バスとは、JR線が不通になった場合に、JRが用意するバスのことです。つまり、代行バスはJR在来線列車の代わりという扱いなので、青春18きっぷでも問題なく乗せてもらえます。

ただ、ローカル線で代行バスが運行される場合、沿線住民の生活を守るという趣旨で、地元の定期券客を優先する場合もあります。こういう場合は、バスが満席になったら、青春18きっぷ利用者が乗れなくなることもあります。

なんであれ、青春18きっぷは激安ですから、普通のきっぷなら受けられるであろう運休時の補償が受けられないこともあります。その点はくれぐれもお忘れなく。

なぜ「車内合流」ができないのか?

この合流方法だと、最初に青春18きっぷを使い始めた「1人目」も、合流時にいったん列車を降りなければなりません。東京のように列車本数が多いところでは問題になりませんが、地方など列車本数が少ないところでは、不便なルールです。

最初に2人分のスタンプを押してもらって、もう1人は別のきっぷで列車に乗って、車内で合流できればいいのに、と思う人も多いでしょう。それはなぜ、できないのでしょうか。

理由は簡単で、車内合流を可能にすると、「2人目」が簡単に不正乗車ができてしまうからです。上記の例でいえば、車内合流を可能にすると、「2人目」は武蔵小杉駅で初乗り区間を買って、そのまま何食わぬ顔をして「1人目」と合流して大阪駅まで旅をすることができてしまいます。そういう不正を防止するために、車内合流は不可となっているのです。

降車駅が別々の場合は?

では、複数人の旅行者が別々の駅で降車する場合はどうしたらいいのでしょうか?

これは乗車時と逆のパターンで、複数人が同時に改札口を出て、改札外で別れます。改札内や列車内で別れても、青春18きっぷがないと、出場できないためです。

たとえば、大阪駅→東京駅の旅行者と大阪駅→武蔵小杉駅の旅行者が、大阪駅→川崎駅を同一行程で旅する場合をみてみましょう。大阪駅→東京駅の旅行者が青春18きっぷを東京駅まで利用するとしても、大阪駅→武蔵小杉駅の旅行者と一緒に川崎駅で降車して、改札口を出る必要があります。

大阪駅→武蔵小杉駅の旅行者は、川崎駅の改札外で武蔵小杉駅までのきっぷを買って(またはSuicaなどで改札を通過して)、武蔵小杉駅まで一人で旅行することになります。大阪駅→東京駅の旅行者は、川崎駅の改札口を青春18きっぷで入り直して、東京駅の改札口を青春18きっぷで出場します。

もし川崎へ向かう列車内で車掌と接する機会があれば、川崎→武蔵小杉のきっぷを車内販売してもらうという方法もあります。その場合は、大阪駅→東京駅の旅行者は東京駅まで乗り通し、大阪駅→武蔵小杉駅の旅行者は川崎駅で降車し、乗り換えて南武線で武蔵小杉駅へ向かうことができます。

余った場合は?

たとえば、2人同時使用で往復旅行をした場合、2人×2日分で4回分の青春18きっぷを使用します。1回分余りますが、これはどうしたらいいのでしょうか。

答えは、とくにありません。余った1回分を、どちらかが使うか、第三者が使うか、金券ショップで売るか、使わないで捨てるか、などの選択肢があります。JR駅窓口で払い戻してもらうことはできません。