青春18きっぷの「新幹線ワープ」
青春18きっぷでは原則として新幹線に乗れません。新幹線料金を追加で払っても乗れません。ですから、青春18きっぷと新幹線は無関係なもの、と思いがちですが、そうではありません。青春18きっぷと新幹線を組み合わせることで、より効率のよい旅になります。
ここでは、新幹線ワープを上手に活用した「激安・高速」コラボの方法を検討します。
低い投資で高い効果を得る「ワープ」旅行術
青春18きっぷを使っていると、「せっかく青春18きっぷなのだから、少しでも移動費用を安く押さえたい」という心理が働きます。そのため、普通・快速列車の利用にこだわり、「新幹線なんて絶対使わない」という人もいます。
もちろん、それで順調に移動できて、目的の旅が達成できるならそれでかまいません。しかし、たとえば普通・快速列車の運転本数が少なかったり、普通・快速列車の乗り継ぎだけでは目的地に達することができないこともあります。そういう場合は、青春18きっぷと新幹線を組み合わせることをおすすめします。
青春18きっぷの利用中に、一部の区間だけ新幹線などを使う方法を「ワープ」といいます。ワープをするには別途の運賃と特急料金が必要になりますので、その別途分をなるべく安く押さえて高い効果を得るのが、上手なワープ術です。
新幹線は速度がとても速いので、高い効果を得ることに関してはカンタンと思いがちですが、実はどこでワープするかによって効果は全く違います。以下に、新幹線を使ったワープ術の要点をまとめます。
一気ワープか、途中ワープか
青春18きっぷと新幹線を組み合わせる場合、二つの考え方があります。一つは「一気ワープ」。これはたとえば東京から新潟まで一気に新幹線で行ってしまい、そこから青春18きっぷを利用して鈍行列車の旅を楽しんだりする方法です。時間短縮効果は絶大で効率のいい旅ができますし、面白くない東京近郊の普通列車に乗らなくていい、というメリットがあります。反面、節約効果はあまり高くありません。
もう一つは「途中ワープ」という方法です。これは、普通・快速列車だけでは移動しにくい区間や時間のかかる区間だけを新幹線で移動するという方法です。たとえば、青春18きっぷで東京から高崎までは快速列車を使い、高崎から越後湯沢まで新幹線を利用し、そこから新潟やその先まで普通列車を利用する、という使い方です。時間短縮効果と経済のバランスを両立させ、費用対効果の高い方法です。反面、時間短縮効果はせいぜい1〜2時間程度にとどまります。
どちらのワープを使うかは好みです。青春18きっぷを「安い旅の手段」と割り切るなら、ワープは使わないか、「途中ワープ」のみにとどめたほうがいいでしょう。いっぽう、青春18きっぷでローカル線の旅を楽しむなどの理由なら、つまらない通勤電車区間は新幹線ですっ飛ばす「一気ワープ」も良いでしょう。一気ワープを使ったとしても、ローカル線区間だけで青春18きっぷの元を取ることは可能です。
新幹線ワープは速達効果の高い区間を狙う
一気ワープであれ、途中ワープであれ、新幹線ワープは速達効果の高い区間を狙うのが基本です。新幹線と在来線の速度差というのは、区間によってずいぶん異なるからです。
たとえば、東京−小田原間は83km、新幹線で40分、普通列車で80分です。新幹線は在来線に比べて50%の時間で到達することができます。一方、静岡−浜松間は77km、新幹線は26分、普通列車は73分です。新幹線は在来線の31%の時間で到達することができます。ほぼ同じ距離でも、速達効果は19%も異なるのです。
これだけ大きな効果差が出るのには理由があり、東京近郊では新幹線は減速運転区間が長いので、あまり速度を出せないからです。静岡県では減速運転区間がないので最高速で走る時間が長いため、速達効果が高いのです。
速達効果が高いのは、新幹線の速度規制がない区間で、なおかつ在来線で所要時間がかかる区間です。主に以下のような区間が挙げられます。
- 静岡−浜松−豊橋
- 名古屋−米原
- 姫路−岡山
- 三原−広島
- 広島−新山口
- 熊本−鹿児島
- 東京−長野
- 高崎−越後湯沢
- 宇都宮−郡山−福島
- 仙台−一ノ関
- 盛岡−八戸−新青森
- 糸魚川−富山−金沢
連続ワープで費用対効果を高くする
新幹線の特急料金は、隣駅またはかつて隣駅だった区間は、特別に安く設定されています。これを「特定特急料金」といいます。たとえば、「三島〜静岡」や「静岡〜浜松」は特定特急料金区間です。
こうした特定特急料金の区間を連続して利用すると、普通に特急券を買うより安くなる場合があります。上記の「三島〜静岡〜浜松」などはその例です。こうした「特定特急料金区間の連続ワープ」は費用対効果が高くなります。
このとき、新幹線特急券は分割して購入しますが、同じ新幹線列車に乗り続けることは問題ありません。運賃も別途必要で、三島~浜松を通しで購入します。
新幹線の激安きっぷと組み合わせる
青春18きっぷで安く旅をしながら、新幹線に普通運賃で乗るなんて馬鹿らしい、という人もいます。ならば、新幹線も激安のきっぷを使って乗りましょう。青春18きっぷと組み合わせやすい激安きっぷは以下の通りです。
・ぷらっとこだま…前日までに特定の「こだま」号を予約・購入することで、20-25%の割引。東海道新幹線区間のみ。JR東海ツアーズで発売
・バリ得こだま…前日までに特定の「こだま」号を予約・購入することで、約40-50%の割引。山陽新幹線区間の一部のみ。日本旅行で発売
・えきねっとトクだ値…事前に特定の新幹線を予約・購入することで割引。割引率や購入期限はきっぷによって異なる。主にJR東日本区間。ウェブサイト「えきねっと」で発売。
正確に書くと、「ぷらっとこだま」「バリ得こだま」は「きっぷ」ではなく旅行会社の「企画商品」です。使い勝手に多少の制約がありますので購入時にお確かめください。
いずれにせよ、こうしたさまざまな割引きっぷと青春18きっぷを組み合わせると、費用対効果の高い旅ができます。
このほか、「青春18きっぷで効果的なワープ区間」もあわせてお読みください。
北海道新幹線オプション券を使う
北海道新幹線の開業で、青函トンネルの在来線が廃止されたため、この区間を青春18きっぷのみで移動することはできなくなりました。
ただ、奥津軽いまべつ~木古内の北海道新幹線に乗れるオプション券が販売されています。これは「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」と呼ばれるもの。これを使えば、別料金はかかりますが、奥津軽いまべつ~木古内の北海道新幹線と、木古内~五稜郭の道南いさりび鉄道線に乗車することができます。
くわしくは「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」をご覧ください。